地上を離れた新しい世界の探求
宇宙船は地球の大気に守られておらず、極低温や、有害な光線にさらされます。このような過酷な環境では、複雑な電子機器を操作し信号を発信する機械が、宇宙を軌道にのって旅することを妨害されることがあります。信号が途切れたり、電子機器が故障したり、機械が動かなくなったりすると、コストのかかる宇宙投資が台無しになる可能性があるのです。
宇宙船や人工衛星の耐久性、信頼性、導電性を高める高性能なふっ素樹脂の利用は、そうした課題に対処するために必要不可欠です。
火星に行くTeflon™(テフロン™)ふっ素樹脂
NASAが10億ドルを投じてマーズエクスプロレーションローバー計画を開始したとき、科学者たちが必要としたのは、火星特有の環境で機能する耐久性のある素材でした。2台の火星探査機、「スピリット」と「オポチュニティ」の重要部品には、Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂が使用されています。
Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂でコーティングされたケーブルが地球に映像を送信していなければ、人類が火星表面を目にすることはなかったでしょう。
また、地球を周回する多くの通信衛星が最高の性能を発揮しているのは、この樹脂のおかげです。Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂には、他のプラスチックにはない以下のような特徴があります。
- 最高300℃までの優れた熱制御
- 耐久性のある曲げ/ねじりの柔軟性
- トップクラスの誘電特性
Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂によって製品寿命が長期化
両探査機の構造に使用されたTeflon™(テフロン™)ふっ素樹脂は、部品故障のリスクを軽減し、ミッションの延長に貢献しました。部品の高耐久性により、オポチュニティのミッションはさらに14年間続き、フルマラソンよりも長い距離を走行し、地球外旅行の記録を更新しました。スピリットも、数カ月の予定だったミッションを2010年3月まで継続し、期待以上の成果を上げました。
Chemours(ケマーズ)の素材は半世紀以上にわたり、このような有人・無人ミッションを可能にしてきました。Chemours(ケマーズ)製品の特性はまた、ロボットアームや電気モジュールといった多様で複雑なツールによる信頼性の高い機能を確実にしています。
これらの重要な航空宇宙用途の詳細については、こちらをご覧ください。
大気中の安全な飛行
航空機の設計者やメーカーは、安全性を第一に考えます。そのためには、ドア、燃料ホース、翼など、あらゆるものを保護する高性能で信頼性の高い素材が必要です。高性能ふっ素樹脂は、飛行の安全性を向上させることで、航空産業の成長を支えています。
- Teflon™(テフロン™)ふっ素樹脂フィルムは、航空機の電子部品に求められる優れた誘電特性を備えています。
- Tefzel™(テフゼル™)ふっ素樹脂は航空機全体に張り巡らされた何十万メートルものケーブルの絶縁に利用されており、熱安定性に加えて、耐老化性、耐放射線性、耐火性を高めます。
- Teflon™ PTFEファインパウダーを使ったチューブは、航空機に使われる燃料その他の溶剤が、安全かつ安定的に流れるようにしています。